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【完全版】第9回:デザイン思考導入時によくある課題とその克服方法

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1. はじめに

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こんにちは!デザイン思考の5段階プロセス(共感、定義、アイデア創出、試作、テスト)を解説してきたシリーズも第9回目です。これまでは、各プロセスをどう進めていくかや、ビジネスや日常に活用する具体的な方法などを紹介してきました。今回は、実際にデザイン思考を導入しようとするときに、多くの人や組織が直面する「よくある課題」についてまとめ、その克服方法を解説します。

デザイン思考は非常に有用な手法ですが、導入してすぐに大きな成果を得られるわけではありません。特に、企業文化やチーム体制、リソースの問題など、さまざまな要因が壁となりがちです。私自身、ファッション、飲食、建築、エステサロン、そしてIT企業の顧問や海外投資家コンサルなど多領域のプロジェクトに関わる中で、同様の壁に何度も直面してきました。しかし、適切な対策を講じれば、その壁は大きな飛躍につながるステップにもなります。

今回は、「デザイン思考がうまく機能しない」「導入初期でつまずく」といった声に応える形で、課題と克服のポイントを整理しました。新しくデザイン思考を取り入れる方はもちろん、すでに取り組んでいるが行き詰まっているという方にも、参考にしていただければ幸いです。

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2. デザイン思考導入時によくある課題

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2-1. 形式的なプロセスに陥る


デザイン思考のステップはあくまで指針であり、「共感」「定義」「アイデア創出」「試作」「テスト」と手順通りに進めたからといって、必ずしも斬新な成果が出るわけではありません。ユーザーインタビューをする際に、ただ質問項目を消化するだけで終わるなど、形式的な作業になりがちです。

克服方法
• 目的を常に意識する: 各ステップで「何を明らかにしたいのか?」を明確にする。
• 柔軟性を持つ: 流れに沿うことを目的化せず、ユーザーや状況に応じてステップを前後させる。

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2-2. 「共感」の浅さ


ユーザーに対するインタビューや観察が表面的だと、課題の本質にたどり着けません。特に短時間で済ませようとすると、「本音や隠れたニーズを見逃す」ことになりがちです。

克服方法
• 「なぜ?」を繰り返す: 相手が答えた理由をさらに深掘りし、真の動機や問題を探る。
• 多様な手法を活用: インタビューだけでなく、フィールド観察やエンパシーマップ、ペルソナ作成など、複数のリサーチ手法を組み合わせる。

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2-3. アイデアが平凡になる


アイデア創出(Ideate)の段階で、意見が広がらず既存の常識にとどまるケースがあります。批判的な雰囲気や心理的安全性が低いチームでは、「変わったアイデア」を出すのが難しいものです。

克服方法
• 心理的安全性を確保: ブレインストーミングでは批判や否定を禁止し、自由に発言できる空気を作る。
• 外部視点の導入: 他部署や外部の専門家を巻き込み、多角的な発想を引き出す。

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2-4. 実装段階での壁


アイデアや試作品は生まれるものの、いざ実装段階になると組織の承認プロセスが複雑すぎたり、コストやリソース不足で頓挫してしまう問題です。デザイン思考が生み出した価値が具体的な形になる前に消えてしまうのは残念なケースと言えます。

克服方法
• 小規模から始める: いきなり大掛かりなプロジェクトに適用せず、PoC(概念実証)やパイロットプロジェクトなど小さい成功事例を積み重ねる。
• 経営層の巻き込み: トップや意思決定者の理解と支援を得ると、リソース確保やスムーズな導入が進みやすい。

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2-5. 部分最適化に陥る


デザイン思考は「誰の課題をどう解決するか」を深く掘り下げるがゆえに、ある局所の問題ばかりを追いかけて全体的な目標や戦略から逸脱する場合もあります。結果的に大きなインパクトを生み出せず、「結局ローカルな改善に終わった」という声が出ることも。

克服方法
• 全体視点で問題定義する: 解決しようとしている課題が、会社や組織のミッション・ビジョンとどのように紐づくかを明確にする。
• 継続的改善サイクル: 一度のプロジェクトだけで満足せず、定期的に検証や目標の再設定を行う。

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3. デザイン思考成功へのポイント

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3-1. ユーザー中心主義を徹底する


どんな技術やデザインも、ユーザーが「欲しい」「使いやすい」「問題が解決した」と感じなければ価値を生みません。常にユーザーの声や現場の状況に耳を傾け、それを意思決定の基準にする姿勢が重要です。

3-2. チーム全員で取り組む


デザイン思考は一人のヒーローではなく、チームや組織全体で進めることで効果が高まります。多様な背景や専門性を持つメンバーが協働すると、新たな化学反応が生まれやすいです。社内でも部門をまたいだチームや、外部パートナーを招いたワークショップなどが有効でしょう。

3-3. 試行錯誤を恐れない


短いサイクルで小さな失敗を積み重ね、学んだことを次の改善に活かすのがデザイン思考の真髄です。試作品を作るコストやリソースをできるだけ低く抑え、「まずはやってみる」文化を醸成しましょう。

3-4. 柔軟性と適応力


デザイン思考は、あくまで問題解決のためのガイドライン。厳密なステップに固執せず、共感や定義に戻ったり、アイデアを検証しながら再定義したりする反復こそがイノベーションの源です。組織やチームが変化を許容する姿勢を持てるかどうかが大きなカギとなります。

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4. まとめと次回予告

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第9回では、デザイン思考を導入するうえで多くの人や組織がつまずきやすいポイントと、その克服方法をまとめました。以下が主な課題と対処法の要点です。

• 形式的なプロセスに陥る:目的を明確にし、柔軟にステップを回す
• 「共感」の浅さ:インタビューや観察を深め、隠れたニーズを探る
• アイデアが平凡になる:心理的安全性を高め、外部視点も導入
• 実装段階での壁:小規模から始め、経営層の理解を得る
• 部分最適化に陥る:全体視点との紐づけと継続的サイクルを意識

デザイン思考は万能ではありませんが、うまく活用すれば不確実性の高い時代に適した強力なフレームワークとなります。私自身、ファッション・飲食・建築・エステ・IT企業の顧問業や海外投資家コンサルの現場で数々の壁に直面してきましたが、柔軟性と試行錯誤の精神こそが成功の鍵だと実感しています。

次回(第10回)は、このシリーズ全体のまとめとして「デザイン思考から得られる学びと今後の応用可能性」を扱います。ここまでの内容を総括しつつ、デザイン思考が未来にどんな影響をもたらすのか、考察していきましょう。お楽しみに。

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(約10,000文字)

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。デザイン思考導入時の課題は、逆に言えばチームや組織が成長するためのチャンスでもあります。次回はいよいよシリーズの最終回として、デザイン思考がもたらす学びを総合的に振り返り、これからの応用可能性について探っていきますので、ぜひ引き続きご覧ください。

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