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地方で売れる商品が東京で断られる理由

地方で売れる商品が東京で断られる理由

「うちは地方の会社ですから」では通らない場面

東京の百貨店バイヤーとの商談で、あなたの会社の商品が「価格が高い」と言われたとき、どう感じるでしょうか。

地元では「あそこの商品なら納得」と言われる価格が、東京では理解されない。OEM先からは「技術力は評価している」と言われているのに、自社ブランドとして持ち込むと反応が変わる。同じ商品、同じ品質なのに、なぜこんなことが起きるのか。

「価格が高い」という断り文句の奥には、実は価格以外の問題が隠れています。全国展開を目指す地方企業が直面する、この違和感の正体を見ていきましょう。

地域では通じる「あの会社だから」が通じない瞬間

地元で長年商売をしていると、「信頼の貯金」とでも呼ぶべきものが蓄積されています。祖父の代から続く取引先、地域の催事での評判、メディアでの取り上げ方。これらすべてが「あの会社の商品だから、この価格でも納得」という土台を作っています。

ところが東京の百貨店に持ち込んだ瞬間、この土台がゼロになります。バイヤーにとって、あなたの会社は「知らない地方の会社」でしかない。商品だけを見て、「同じような商品が他にもある中で、なぜこの価格なのか」という判断をされることになります。

技術力やこだわりを説明しても、「でも、お客様にとってはその違いが分からない」と返される。これは価格の問題ではなく、あなたの会社が「何者として認知されるか」という問題なのです。

OEM受託と自社ブランドで求められるものの違い

興味深いことに、同じ会社でもOEM案件は順調に受注できているケースが多いものです。これは、OEMでは「作る技術力」だけが評価されるからです。商品企画、ブランディング、マーケティングはすべてOEM先が担う。あなたの会社は「優秀な製造パートナー」として認知されれば十分です。

しかし自社ブランドとなると、話は別です。「なぜその商品が存在するのか」「誰のためのものなのか」「他とどう違うのか」を、あなた自身が語らなければならない。技術力だけでは不十分で、商品の背景にあるストーリーや価値提案が求められます。

「価格が高い」と言われるのは、実は「この価格に見合う理由が伝わっていない」ということ。同じ商品でも、それを支える物語が変われば、受け取られ方はまったく変わってきます。

全国の顧客が納得する「理由」を作る

地方発の全国展開で成功している企業には、共通点があります。それは「地方だからこその理由」を明確に持っていることです。

地元の原材料へのこだわり、伝統的な製法、職人の技術継承、地域コミュニティとの関わり。これらは地方企業ならではの強みですが、それをただ説明するだけでは不十分です。「なぜそれがお客様にとって価値なのか」まで言語化する必要があります。

たとえば「地元の〇〇を使用」ではなく、「〇〇だからこそ実現できる、他では味わえない体験」として提案する。「職人の手作業」ではなく、「一つひとつに込められた、大量生産では絶対に再現できない品質」として伝える。

価格の高さを正当化するのではなく、価格に納得してもらえる価値を明確にする。これが、地方企業の全国展開における鍵となります。

「選ばれる理由」を組織全体で共有しているか

もう一つの課題は、営業担当者だけでなく、組織全体がその「理由」を語れるようになっているかです。

百貨店での商談は営業担当者が行いますが、商品開発、品質管理、配送、アフターサービスまで、すべての接点で一貫したメッセージが伝わらなければ、ブランドとしての説得力は生まれません。

社員が増え、複数の部門ができた今、「なぜその価格なのか」を全員が同じ温度感で語れているでしょうか。製造部門は技術的な優位性を語り、営業部門は価格競争力を強調し、マーケティング担当者は感情的な価値を訴える。バラバラのメッセージでは、顧客は混乱するばかりです。

「価格が高い」と言われたとき、営業担当者がとっさに答える理由と、あなたが考えている理由は同じですか。その理由を、製造現場のスタッフも同じように説明できるでしょうか。

全国化の前夜だからこそ、立ち止まって考える

地方発の全国展開は、ただ販路を広げることではありません。地域で培った強みを、全国の顧客にとっても価値のある形に翻訳していく作業です。

「価格が高い」で断られるのは、その翻訳がうまくいっていないサイン。逆に言えば、この段階で立ち止まって考えることで、真の意味での全国ブランドに育てていけるチャンスでもあります。

そもそも、あなたの会社は誰にとっての「不可欠な存在」でしょうか。地元のお客様が「あそこの商品じゃなきゃダメ」と言ってくれる理由を、全国のお客様にも同じように感じてもらうには、どんな伝え方が必要でしょうか。

技術力も実績もある。あとは、それを「選ばれる理由」として組み立て直すことです。価格ではなく価値で勝負する準備が整えば、東京の百貨店での商談も、きっと違う展開になるはずです。

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