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GW明けの『トレーナー総退職』を防いだフィットネス経営者が、面接で必ず確認している意外な質問

GW明けの『トレーナー総退職』を防いだフィットネス経営者が、面接で必ず確認している意外な質問

また、一度に3人辞めると言われた夜

スマートフォンの画面に並ぶ「退職の相談があります」のメッセージを見たとき、あなたはどんな気持ちになるでしょうか。しかも、それがGW明けの月曜日に、主要スタッフから同じ日に届いたとしたら。

フィットネス業界を長年見てきて分かるのは、「スタッフが一斉に辞める」というのは偶然ではないということです。水面下で何ヶ月もかけて醸成された不満や不安が、長期休暇明けという節目に一気に表面化するのです。

あるパーソナルトレーニングジムの社長は、過去に同じような経験をしていました。GW明けに主力トレーナー3名から同時に退職を告げられ、顧客からのクレーム対応と新規採用を同時に進める地獄のような2ヶ月を過ごしたといいます。

しかし、その経験以降、この社長の会社では「スタッフの同時退職」が一度も起きていません。なぜでしょうか。

表面的な待遇改善では解決しない構造

多くの経営者が最初に考えるのは、給与アップや福利厚生の充実です。確かに、これらは重要な要素です。しかし、実際にスタッフの退職理由を深く聞いてみると、意外なことが見えてきます。

「お客様との関係にストレスを感じる」「自分の技術を活かし切れていない」「将来のキャリアが見えない」—— これらの声は、単純に給与を上げれば解決する問題ではありません。

特に、専門性を持つスタッフほど、この傾向は顕著です。トレーナーや技術者、講師といった職種の人たちは、自分の専門スキルを活かして顧客に価値を提供したいという思いが強い。にもかかわらず、現実は「数をこなす」「売上を上げる」というプレッシャーばかりが先行してしまう。

この構造的なミスマッチが、表面上は問題なく見えるスタッフの心の中で、静かに不満を蓄積させていくのです。

その社長が面接で必ず聞く「意外な質問」

先ほどのパーソナルジムの社長が、面接で必ず確認している質問があります。それは、経験やスキルに関する質問ではありません。

「あなたは、どんなお客様と一緒に時間を過ごしているときが一番幸せですか?」

一見、抽象的で答えにくい質問に見えるかもしれません。しかし、この質問には深い意味があります。

この質問に対する答えから、その人が「どのような顧客体験を提供したいと思っているか」「どのような瞬間に仕事のやりがいを感じるか」「自分の専門性をどう活かしたいか」が見えてくるのです。

そして、ここが重要なポイントです。この社長は、応募者の答えと自社の事業方針が合致するかどうかを慎重に見極めています。もし応募者が「ダイエットに成功した瞬間の喜びを一緒に分かち合いたい」と答えたなら、その人にはダイエット特化のプログラムを担当してもらう。「運動が苦手な人でも楽しめる環境を作りたい」と答えたなら、初心者向けクラスの担当から始めてもらう。

つまり、スタッフの「やりたいこと」と会社の「提供したい価値」を最初から一致させているのです。

「顧客との関係性」から逆算する人材配置

この社長のアプローチで特筆すべきは、顧客との関係性を軸にして人材配置を考えている点です。

従来の多くの会社では、「この人はスキルが高いから上級者向け」「この人は新人だから初心者向け」という技術レベルで配置を決めがちです。しかし、この社長は違います。

「この顧客層との相性」「この顧客の課題に対する共感度」「この顧客が求める体験に対する理解度」を重視して、スタッフとクラスや顧客のマッチングを行っているのです。

例えば、ある女性トレーナーは技術的にはまだ発展途上でしたが、「産後の体型戻しで悩む女性の気持ちが本当によく分かる」という強みがありました。この社長は、彼女を産後ママ向けのクラス専属にしました。結果、そのクラスの継続率は9割を超え、口コミで新規顧客が絶えない人気クラスになりました。

スタッフ側も「自分の経験や思いが活かされている」と実感でき、仕事への満足度が格段に上がったといいます。

組織全体で「適所適材」を実現する仕組み

しかし、このアプローチは個別対応だけでは限界があります。組織として継続的に実現するためには、仕組みが必要です。

この社長の会社では、四半期に一度「スタッフと顧客のマッチング見直し会議」を開いています。各スタッフから「今担当している顧客との関係で感じていること」「もっと力を発揮できそうな顧客層があるか」をヒアリングし、必要に応じて担当を調整しているのです。

また、新しいサービスや顧客層を開拓するときも、「どのスタッフの強みを活かせるか」という視点から企画を組み立てます。結果として、事業拡大とスタッフの成長・満足度向上が同時に実現されています。

さらに興味深いのは、スタッフ同士の情報共有の仕組みです。月に一度「顧客との関係で感じたこと」を共有する場を設け、成功事例や課題を組織全体でシェアしています。この場が、スタッフの孤立感を防ぎ、チーム全体のノウハウ蓄積にも繋がっているのです。

なぜ、この質問が「同時退職」を防ぐのか

面接での「どんなお客様と一緒に時間を過ごしているときが一番幸せか」という質問。これが同時退職を防ぐ理由は、単純です。

スタッフが「自分らしさを活かして顧客に価値を提供できている」と実感できる環境を、最初から意図的に作っているからです。

多くの会社では、採用後に「この人にはこの仕事をやってもらおう」と決めます。しかし、このアプローチでは「その人が本当にやりたいこと」と「会社が求めること」にズレが生じやすい。そのズレが積み重なって、不満や不安として蓄積され、最終的に離職に繋がってしまいます。

一方、この社長のように「その人が最も力を発揮できる顧客との関係性」を最初から見極めて配置すれば、スタッフは入社直後から「自分の強みが活かされている」と実感できます。この実感こそが、長期的な定着の基盤になるのです。

明日から始められる小さな一歩

もし今、あなたの会社でもスタッフの離職に悩んでいるなら、まずは現在働いているスタッフに聞いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

「どんなお客様と接しているときが一番やりがいを感じますか?」

その答えと現在の業務内容を照らし合わせてみてください。もしズレがあるなら、少しずつでも、その人の「やりがいを感じる顧客との関係性」により近い業務を任せてみる。それだけでも、スタッフの仕事に対する満足度は変わってくるかもしれません。

組織が大きくなればなるほど、一人ひとりのスタッフの「本当にやりたいこと」が見えにくくなります。しかし、そこに目を向け続ける経営者の会社では、スタッフは長く働き続け、結果として顧客にも質の高いサービスが提供されています。

次の採用面接では、ぜひこの質問を投げかけてみてください。そして、その答えを大切にしてください。それが、あなたの会社の未来を変える第一歩になるかもしれません。


DEARS CONSULTING 前田正浩
企業の「規模ではなく不可欠な存在に変わる経営戦略」を発信しています。
note でも実例ベースの話を続けています。 → noteをフォローする

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