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なぜ節税に熱心な社長ほど手元にお金が残らないのか

なぜ節税に熱心な社長ほど手元にお金が残らないのか

経費で落とした途端に消えた300万円の「教訓」

「この前、新車を会社名義で買ったんです。300万円の全額経費ですよ!」

知り合いの社長から、少し誇らしげにそんな話を聞かされたとき、あなたはどう感じるでしょうか。「いいなあ」と思うでしょうか。それとも、何か違和感を覚えるでしょうか。

実はこの社長、3ヶ月後に設備投資の資金繰りで困り、銀行から追加融資を断られるという事態に陥りました。「あの300万円があれば…」と後悔の言葉を口にしていたのが印象的でした。

多くの経営者が陥りがちな「節税のワナ」。それは、税金を払いたくない気持ちが先行して、本当に必要な判断を見失ってしまうということです。

「経費で落とす」という言葉の奥に隠れた真実

「経費で落とす」「税金対策」。経営者同士の会話でよく飛び交う言葉ですが、この言葉の奥に潜んでいる構造を整理してみましょう。

仮に法人税率が25%だとします。100万円の経費を計上すれば、確かに25万円の税金は減ります。しかし、当たり前のことですが、手元からは100万円が消えています。つまり、25万円を節税するために75万円を失っているわけです。

この構造を理解していない経営者は意外に多いものです。「税金を25万円減らした」という部分だけに注目し、「75万円の現金が減った」という事実を軽視してしまうのです。

ドラッカーは「利益とは、企業が将来に向かって投資するための原資である」と述べています。節税のために利益を圧縮し続けていては、本来投資すべき成長機会を逸してしまうかもしれません。

なぜ「今期は利益を出したくない」が危険な発想なのか

決算が近づくと、多くの経営者から「今期は利益を出したくないんです。何かいい節税策はありませんか?」という相談を受けます。この発想自体が、実は経営の根幹を見失っている可能性があります。

利益は、会社の「体力」そのものです。体力がなければ、次のような場面で困ることになります:

  • 設備投資のチャンス:競合他社より優れた設備を導入したいとき
  • 優秀な人材の獲得:市場価値の高い人材を採用したいとき
  • 新規事業への投資:成長機会を掴みたいとき
  • 経済危機への備え:予期せぬ事態に対応するとき

2020年のコロナ禍では、内部留保がしっかりしていた企業ほど危機を乗り越えることができました。逆に、節税を重視しすぎて手元資金が薄かった企業は、融資に頼らざるを得ない状況に追い込まれました。

そもそも、あなたの会社にとって本当に重要なのは、税金を減らすことでしょうか、それとも持続的に成長することでしょうか

税理士さんとの「危険な会話」を見抜く

税理士の中には、節税提案を「付加価値」だと考える方もいらっしゃいます。しかし、その提案が本当に経営にとってプラスなのかどうかは、慎重に判断する必要があります。

こんな会話には要注意です:

税理士:「社長、今期は利益が出そうですね。何か買い物しませんか?」
→ 本来不要な支出を促している可能性があります。

税理士:「この保険に入れば、全額経費になりますよ」
→ 保険の必要性ではなく、税務上のメリットだけで判断させようとしています。

税理士:「決算まであと1ヶ月。急いで何か対策しましょう」
→ 場当たり的な節税は、長期的な経営戦略と矛盾する場合があります。

優秀な税理士なら、「その支出は本当に会社の成長に必要ですか?」「今の財務状況で、そこまで節税を急ぐ必要がありますか?」といった経営の本質に関わる質問をしてくれるものです。

では、税金とはどう向き合えばいいのか

税金を「悪」として捉えるのではなく、「経営の結果指標」として捉えてみてはいかがでしょうか。利益が出て税金を払うということは、それだけ会社が価値を生み出したということです。

実際に、財務が健全で持続的に成長している企業の経営者は、税金との向き合い方が違います:

適正な税負担を受け入れる

「税金は社会への貢献」と捉え、適正な範囲での税負担は企業の社会的責任として受け入れています。

長期的な視点で判断する

短期的な節税よりも、3年後、5年後の会社の姿を想像し、そのために必要な投資と内部留保を優先します。

キャッシュフローを重視する

「利益」と「現金」は違います。税金を払ってでも、手元に現金を残すことの価値を理解しています。

本当に価値のある「賢い税務戦略」とは

節税を完全に否定するわけではありません。本当に価値のある税務戦略とは、経営戦略と一体になった長期的な視点での取り組みです。

例えば:

  • 研究開発投資:将来の競争力向上につながる R&D への投資
  • 人材育成:従業員のスキルアップや資格取得支援
  • 設備投資:生産性向上や品質向上につながる設備更新
  • IT投資:業務効率化やデジタル化への投資

これらは確かに経費になりますが、同時に会社の将来価値を高める投資でもあります。つまり、「節税効果がある」のではなく、「成長投資が結果的に節税にもなる」という考え方です。

明日から始められる「正しい税金との向き合い方」

では、具体的にどんなことから始めればよいでしょうか。

まず、月次の試算表を見るときの視点を変えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。利益が出そうなときに「税金が増える」ではなく、「投資原資が確保できた」と捉える習慣をつけるのです。

そして、年に一度は「5年後の会社の姿」を想像し、そのために必要な投資計画を立てる時間を作ってみてください。その計画に基づいて初めて、適切な利益水準と税負担が見えてくるはずです。

税理士さんとの関係も見直してみるとよいかもしれません。「節税提案をしてくれる人」ではなく、「経営の数字から会社の健康状態を一緒に考えてくれるパートナー」として付き合えているでしょうか。

最後に、同じ経営者仲間との会話でも、「いくら節税したか」ではなく「どんな投資で会社を強くしたか」を語り合える関係性を築いていけたら、きっとあなたの会社はより強固なものになっていくでしょう。

税金は確かに経営者にとって重い負担です。しかし、それを恐れるあまりに経営の本質を見失っては本末転倒。適切な利益を確保し、適切な税負担を受け入れることで、結果的により強い会社を築くことができるのではないでしょうか。

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